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文部科学大臣賞・国土交通大臣賞
第28回日本少年少女オープンヨット大会(西日本地区) 実施報告
実行委員会 委員長
菊池良平
2008年5月3日(土)〜5日(月)の3日間、第28回日本少年少女オープンヨット大会(西日本地区)が、社団法人日本ジュニアヨットクラブ連盟と島根県ヨット連盟、隠岐ジュニアヨットクラブ、安来ジュニアヨットクラブの共同主催で、山陰の島根県安来市十神山なぎさ公園を会場に中海で開催されました。
一昨年の第26回大会は、今回の安来市の1.5kmほどの中海対岸の鳥取県米子市での開催でしたので、一年おいての同じ山陰の海での開催となりました。
参加艇数は当初見込みの90艇の約3分の1の6クラブ31艇となり、しかもOP級(上級者20艇、初級者11艇)のみということで一寸寂しいかなと思われましたが、指導者・保護者、地元の協力者の皆さんの選手よりも多い大勢の参加で総勢120名の大会になりました。
これは、同時期に、(財)日本セーリング連盟が主催する唐津でのJSAFユースセーリングチャンピオンシップ2008にレーザー級、シーホッパー級SRが参加したことに加えて、今年初めて同時期に開催となった九州地区のOP級の大会と重なった為で、九州地区、山口県の各クラブにとっては直前になっての九州大会開催には戸惑ったことだと思います。
参加チームは中国、四国、神戸、琵琶湖の5クラブに加えて、嬉しかったことは遠く鹿児島からも1クラブ参加して頂けたことです。2月に鹿児島で三ツ矢サイダーカップ九州大会を開催したお陰かと思いました。指導者だけ参加して頂いたクラブもありました。
国土交通大臣賞は元々シーホッパー級SR上級者に授与されるところ、今年も国土交通省にお願いして、OP級初級者の優勝者に授与頂くことで了解を得ることが出来ました。
1日目のトライアルレースのコースは1レグ400m位にしました。
上級者クラス13:00スタート。初級者クラスは13:05スタートで風は東3m位。日照りは強烈ではないが30度近い気温となりました。 両クラス共に順調に展開し、距離の短い初級者クラスが20分台でフィニッシュし、14:30過ぎには艇の片付けも終了しました。
レース海面は艇置き場のなぎさ公園から真北にあり、遠く島根半島が望まれる安来港航路に隣り合った水域でした。参加艇数が少ないので1海面での運営とし、スタートとコースを分けて行いました。
開閉会式場兼艇置き場は、白い砂浜につながる芝生が敷き詰められた絶好の場所で、十神山という高さ100mほどの山の神域に属し、背後は緑したたる樹域でキャンプ設備もある良い環境でした。
15:30開会式
出席予定の連盟佐藤副会長が急遽来られなくなったので、連盟の安井常務理事、指導育成委員長が挨拶しました。 「英国のレースでは、1位でも真の優勝者にはなれない。品格が評価されるからです。勝ちさえすれば良いと言うものではない」という説話を選手も指導者、保護者も神妙な面持ちで耳を傾けていました。
18:00から安来市市民会館に約200名集合、大塚製薬株式会社ご提供の資料で安全講習会を開催。
「レースにはベストパフォーマンスで臨むことが好成績期待の基本」と解説がありました。それから、弁当方式での交流会となりました。豪華とは言えないメニューでしたが、暖かい雰囲気の中で終了しました。
2日目 第1レース 風位は中々定まらず、漸く北、3m位で上級者クラス09:00スタート予定でしたが、ゼネリコ2回の後、I旗掲揚で何とか10:26スタートできました。その後の第2レースは、順調に展開しました。
昼食後の第3レースは風4m位、最初からI旗展開で13:55スタート。 第4レースは風が少し出てきたので上級者クラスはレグ700mに延ばして実施しました。 明日の予報は雨模様で、風は西から南西に変わり、やや強いということから、今日中に5レースは消化したいと陸上本部から要請。海上本部も同じ気持ちで運営に当たりました。
第5レースは上級者クラス16:10スタート、初級者クラス16:15スタートで順調に展開したので、当初の予定6レースは消化できませんでしたが、何とか5レース消化できました。
3日目最終日 運営艇が沖合海面に出た時点の風は東の3m位、それが南東に、そして南に、更に西に変わり6mから8m、瞬間12mと強くなってゆきました。
上級者クラスが09:20スタートして間もなく風位が南西になり、レース艇はポートタックのクローズホールド一本コースになってしまいました。第1マークのマークボートから片のぼりになっているから、やり直したらどうかとアドヴァイスが入りましたが、初級者クラスもスタート直前でもあり、やむなしとそのまま継続を決定し、初級者クラスもスタートさせました。第1マークから第2マークはタックの連続ののぼりになりました。
外洋と違い風の吹く距離が短いので波は低いが、かなりの飛沫が入るのでベイラーで汲み出す動きが各艇に見えました。このレースも順調に進行、終了できました。
第7レースは上級者クラス10:00スタート、風位南西に安定、風速変わらず。初級者クラス2艇がスタート前にリタイヤ。南西の風は安来港口方向から十神山の山裾を回り込んでくるかなりきつい風でした。レース終了間近になり、最終マークになっている第3マークが強風で流され始め、対岸の彦名竹干拓の岸まで数十m程に接近してしまったので、このままではレース艇の回航に危険と判断されました。支援艇にマークの曳航移動を指示しようとしましたが、既に未回航艇が残り1艇だけでマーク回航も間近であったので、移動せずになんとか間に合いました。このレースの沈艇は3艇でした。
3日間のレース全体では、1日目弱風、2日目中風、3日目強風。風位も北、東、南、西と一回りするという変化がありました。選手にも運営側にも随分と勉強になったレースでした。
宿泊は公民館等公的施設を利用し、参加者の負担軽減に努めました。各チームの支援艇の存在は運営側には心強く感じられました。
レース艇はいずれも昔では考えられないような舶来艇が多く、やはり金持ちのスポーツかなという印象でした。
然し、強風の中で波を頭からかぶり、あか水を汲みながら必死に艇を操り疾走する姿、沈艇を懸命に起こす姿を本部艇から見ていると感動しました。このようなスポーツはほかにないと思います。こういう様子を目の前でみれば誰でも感動するだろうと思います。 然しながら、ヨットレースはいまのところ遠くからしか観戦できません。やはり「見せるスポーツ」にしたいなと感じました。
もう一つ残念であったのは山陰からの参加艇が無かったことです。少子化の影響とは云え悔やまれてなりません。 レースを通じて感じたことは選手のマナーが良くなったことでした。
SB食品株式会社ご提供のカレーパーテイーは地元のお母様方の前日からの追加の牛肉の煮込み準備と当日は実行委員の内藤理事のご友人の皆さん(男性女性6名)の肝いりで、取り立ての名物「筍」を大鍋2杯作って頂き参加者には大好評でした。
閉会式直前、雨模様になり風もきつく寒くなってきたので、式場を予定の場所から管理室建物の風蔭に急遽変更しました。表彰式は拍手と笑い声で寒さも吹き飛ぶ賑やかなものになりました。
閉会式後は、山越えの狭道の為に帰り支度の車の移動が大変でしたが、運営委員の緻密なダイヤを組んでの計画と全員の協力のお陰でスムーズに運び参加者はそれぞれ早めに帰途につくことが出来ました。
地元からのジュニア選手参加がゼロでも、地元の運営関係者と大会参加者の協力で手作りで質素ではありましたが、時節柄の普及大会としては見事な大会として成功したと思います。改めて関係各位に紙面を借りて御礼申し上げる次第です。
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